アルロースの効果とは?ダイエットや脂肪燃焼の効果や危険性について

最近、話題に上がることが増えてきた「アルロース」。

アルロースは香川大学の最新研究によりダイエット効果が証明済みですが、今も研究が続けられている新しい栄養素です。

現時点でわかっている効果や危険性、他の甘味料との比較をわかりやすくご紹介します。

希少糖「アルロース」とは?

アルロースは、もともとドライいちじくやレーズンなどに含まれる天然由来の甘味料で、人工甘味料ではありません。

アルロースは自然界に微量にしか存在しないため、食品からは摂取しづらい甘味料です。アルロースのように自然界に微量にしか存在しない糖を「希少糖」と呼びます。

希少糖の名付け親、何森名誉教授が所属する香川大学を中心に、アルロースの研究が進められています。

アルロースは、ダイエットや脂肪燃焼の効果も期待されています。ゼロカロリーで安全性が高いこともあり、健康分野で非常に注目されてる甘味料です。

アルロースの成分

アルロースは、炭水化物の構成する成分のひとつ「単糖」です。

同じ単糖の「ぶどう糖」や「果糖」と構造が似ているので、甘みを感じるものの、消化・吸収されずに体外に排泄される性質があります

これがアルロースが「ゼロカロリーの甘味料」としてダイエットに効果的と言われる理由の一つです。ほぼゼロカロリーで、砂糖の70%の甘味があるアルロースは、ダイエットに適した甘味料と言えるでしょう。

アルロースは自然界には極微量にしか存在していないため、市販のアルロース製品は「フルクトース(果糖)」を原材料にして、酵素反応や加熱による化学反応によって生成されます。

※アルロースの正式名称は「D-アルロース」といいます。「D-プシコース」や「プシコース」とも表記され、全て同じ成分です。

アルロースの効果

では実際、アルロースは「ダイエット」に効果はあるのでしょうか?

実はすでにいくつかの臨床試験などで、食後高血糖の抑制、内臓脂肪の抑制などの機能が報告されています。つまり「ダイエット効果がある」ということです!

1.脂肪を燃焼する効果

アルロースに、ダイエットに直結する「脂肪燃焼」の効果があることが、複数の研究により報告されています。

糖質中の8%をアルロースに置き換えた動物実験では、体重の減少と内臓脂肪の減少が確認されました。さらに、動物実験と人による実験でも、アルロースには脂肪肝の改善効果があることもわかってきています。

「肥満」や「肥満に関係する病気」の予防・改善に役立つアルロース。今後さらなる研究が期待されます。

参考文献:
Youngji Han, Eun-Young Kwon, Mi Kyeong Yu, Seon Jeong Lee, Hye-Jin Kim, Seong-Bo Kim, Yang Hee Kim, and Myung-Sook Choi. (2018)  “A Preliminary Study for Evaluating the Dose-Dependent Effect of d-Allulose for Fat Mass Reduction in Adult Humans: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Trial” Nutrients
https://www.mdpi.com/2072-6643/10/2/160

Tomonori Kimura M.S. a, Akane Kanasaki M.S. a, Noriko Hayashi M.S. a, Takako Yamada M.S. a, Tetsuo Iida Ph.D. a, Yasuo Nagata Ph.D. b, Kazuhiro Okuma Ph.D. (2017) ”d-Allulose enhances postprandial fat oxidation in healthy humans” Nutrition
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0899900717301181

Kouichi Itoh, Shodo Mizuno, Sayuri Hama, Wataru Oshima, Miku Kawamata, Akram Hossain , Yasuhiro Ishihara, Masaaki Tokuda. (2015) “Beneficial Effects of Supplementation of the Rare Sugar “D-allulose” Against Hepatic Steatosis and Severe Obesity in Lep(ob)/Lep(ob) Mice” J Food Sci
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26012374/

Misuzu Tanaka, Akane Kanasaki, Noriko Hayashi, Tetsuo Iida, Koji Murao. (2020) ”Safety and efficacy of a 48-week long-term ingestion of D-allulose in subjects with high LDL cholesterol levels” Fundamental Toxicological Sciences
https://www.jstage.jst.go.jp/article/fts/7/1/7_15/_article/-char/ja/

2.血糖値の上昇を抑制する効果

「血糖値とダイエットに、どう関係があるの?」と疑問に思った方のために、ダイエットと血糖値の関係を簡単に説明します。

血糖値が上がると、体内で使われるエネルギーを調整するためのホルモン「インスリン」が働きにくくなります。その結果、あまったエネルギーを脂肪として体内にためこんでしまいます。これが、甘いものを食べ過ぎる(血糖値が上がる)と太ると言われる原因です。

アルロースには食後の血糖の上昇を抑制する効果」があることも臨床試験で証明されています。*1

*1 Noriko Hayashi, Tetsuo Iida, Takako Yamada, Kazuhiro Okuma, Isao Takehara, Takashi Yamamoto, Koji Yamada, Masaaki Tokuda.(2010)”Study on the postprandial blood glucose suppression effect of D-psicose in borderline diabetes and the safety of long-term ingestion by normal human subjects”Biosci Biotechnol Biochem

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20208358/

参考文献:
Francesco Franchi, Dmitry M Yaranov, Fabiana Rollini, Andrea Rivas, Jose Rivas Rios, Latonya Been, Yuma Tani, Masaaki Tokuda, Tetsuo Iida, Noriko Hayashi, Dominick J Angiolillo, Arshag D Mooradian. (2021) “Effects of D-allulose on glucose tolerance and insulin response to a standard oral sucrose load: results of a prospective, randomized, crossover study” BMJ Open Diabetes Research & Care
https://drc.bmj.com/content/9/1/e001939

Kensaku Fukunaga, Takafumi Yoshimura, Hitomi Imachi,Toshihiro Kobayashi,
Toshihiro Kobayashi,Takanobu Saheki,Seisuke Sato,Nao Saheki,Wenyi Jiang and Koji Murao.(2023) “A Pilot Study on the Efficacy of a Diabetic Diet Containing the Rare Sugar D-Allulose in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus: A Prospective, Randomized, Single-Blind, Crossover Study” Nutrients
https://www.mdpi.com/2072-6643/15/12/2802

Tomoya Shintani, Takako Yamada, Noriko Hayashi, Tetsuo Iida, Yasuo Nagata, Nobuaki Ozaki, Yukiyasu Toyoda.(2017)”Rare Sugar Syrup Containing d-Allulose but Not High-Fructose Corn Syrup Maintains Glucose Tolerance and Insulin Sensitivity Partly via Hepatic Glucokinase Translocation in Wistar Rats”J Agric Food Chem.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28209058/

Yukie Natsume, Takako Yamada, Tetsuo Iida, Nobuaki Ozaki , Yang Gou, Yoshiharu Oshida , Teruhiko Koike.(2021)”Investigation of d-allulose effects on high-sucrose diet-induced insulin resistance via hyperinsulinemic-euglycemic clamps in rats”Heliyon
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405844021021162

Akram Hossain, Fuminori Yamaguchi, Kayoko Hirose, Toru Matsunaga, Li Sui, Yuko Hirata , Chisato Noguchi , Ayako Katagi , Kazuyo Kamitori , Youyi Dong , Ikuko Tsukamoto , Masaaki Tokuda.(2015)”Rare sugar D-psicose prevents progression and development of diabetes in T2DM model Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty rats”Drug Des Devel Ther
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25632221/

アルロースの危険性・安全性について

人工甘味料「アスパルテーム」のように、当初は安全と言われていても、後々の研究で危険性が示されることもあります。

では、気になるアルロースの危険性・安全性はどうでしょうか。

アルロースは安全?

アルロースは、米国食品医薬品局(FDA)により「安全な食品」として認証されていますアルロースの安全性は、1990年以降使用され続けている同じくゼロカロリーの天然由来甘味料「エリスリトール」と同等です。

ただし、アルロースの安全性に関する長期的なデータはまだありません。また、ヒトを対象とした実験ではないものの、実験ではマウスの副作用が報告されています。

・大腸炎のマウスにアルロースを与えると大腸炎が悪化した

・細胞培養による試験でアルロースが筋細胞ダメージを悪化させた

アルロースの摂取は健康な人には問題がないものの、病気の方や体調の悪い方に関しては、長期の利用は慎重になったほうがいいのではないかと思います

参考文献:
Xuejiao Zhanga, Ang Lia, Yuanyifei Wanga, Jin Wanga, Bowei Zhanga, Yan Zhanga, Jingmin Liua, Shuo Wang.(2023) “D-Psicose intake exacerbates dextran sulfate sodium-induced colitis in mice through alteration in the gut microbiota and dysfunction of mucosal barrier”Food Science and Human Wellness
https://www.sciopen.com/article/10.26599/FSHW.2022.9250046

Zhen-Jie Wei, Lu Sun, Yu-Lin Li, Jibran Sualeh Muhammad, Ying Wang, Qian-Wen Feng, Yan-Zhuo Zhang, Hidekuni Inadera, Zheng-Guo Cui, Cheng-Ai Wu.(2021)”Low‑calorie sweetener D‑psicose promotes hydrogen peroxide‑mediated apoptosis in C2C12 myogenic cells favoring skeletal muscle cell injury”Molecular Medicine Reports
https://www.spandidos-publications.com/10.3892/mmr.2021.12175

アルロースが含まれている身の回りの食品

アルロースは自然界に微量にしか存在しない希少糖ではありますが、実は、私達は知らないうちに日常的に摂取しています。

アルロースはフルクトース(果糖)を含む食品の加熱調理などによっても自然と生じるためです。

ただ、下記の表の通り、その量は極微量です。表中でアルクロースが最も多いウスターソースでも、1mg=0.001gなので100g中わずか0.13gしか含まれていません。

しかもウスターソースを100gもかけることはないので、現実的に食品から摂取するアルロースは、いい効果もわるい影響もない程度の量といえます。

菓子製品 mg/100g 調味料・飲料 mg/100g
カステラ

ようかん

カステラ

コーンスナック

ちんすこう

黒飴

黒糖かりんとう

チョコチップクッキー

シリアル

11.0

11.2

47.0

27.3

26.7

76.5

95.6

6.4

2.2

カラメルソース

黒砂糖

ミートソース

デミグラスソース

メープルシロップ

ケチャップ

ウスターソース

コーラ

コーヒー

フルーツジュース

トマトジュース

83.0

71.1

15.8

16.3

57.9

39.8

130.6

38.3

0.5

21.5

2.4

料理 mg/100g 果物 mg/100g
醤油豆
さんまの蒲焼切り干し大根の煮物納豆
5.7

39.1

8.1

7.8

ドライいちじく

ドライキウイフルーツ

レーズン

桃の缶詰

みかんの缶詰

さくらんぼの缶詰

29.6

9.4

38.7

1.5

8.4

2.0

出典 : Food Sci. Technol. Res., 12(2】137−143,2006 食品科学技術研究 さまざまな食品に含まれるプシコースの含有量とその起源

アルロースとラカントの違い

ラカントは正式には「ラカントS」というサラヤ株式会社が販売している甘味料の商品名であり、栄養成分の名称ではありません。

ラカントは、ウリ科の植物「羅漢果(ラカンカ)」とトウモロコシからつくられる天然由来の甘味料「エリスリトール」が原材料の自然派甘味料です。

アルローストとラカントがもつ効果の共通点は、以下の通りです。

・カロリーゼロ

・安全性の高い

・血糖値の上昇を抑制する

アルロースとラカントの効果はとても似ています。ただやはり原材料が異なる分、甘味・風味が違います。お好みに合わせてお楽しみください。

アルロースはどんなふうに摂取するといいの?

砂糖の代替品として使う

普段使用している砂糖を、アルロースにそのまま置き換えてみましょう料理やお菓子づくりに、コーヒーなど飲み物に、砂糖と同じようにお使いください。

摂取量は多くて一日30gに収める

あるロースがダイエットや健康にいいとされていても、摂り過ぎはNGですアルロースの摂取は多くても1日に30g以内、1回に5g以内に収めてください。

アルロース製品に明記された使用量を必ず確認し、用量を守りましょう。慣れるまではお腹がゆるくなることもあるので、はじめは少量から摂取して様子を見てみてください。

アルロースはダイエットの補助として利用する

「アルロースだけで痩せる」という考え方はよくありません。一つの食品で痩せるのではなく、色々な食材の全体バランスを良くして、健康的にシェイプアップしましょう。

WRITER

吉冨 信長(よしとみのぶなが)

1977年生まれ (株)コミディア代表取締役 栄養カウンセラー、分子栄養学セミナー講師、日本脂質栄養学会会員、日本微量元素学会会員

2000年東京理科大学卒業後、SE業界へ。
SE業界を引退後、2007年青果業界へ転職し、2013年から食と栄養に関する健康情報をSNS等で日々発信し、講演会やセミナーではいつも満員となる人気講師に。

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