『細胞内ビタミンCは「還元型>酸化型」が大事』

組織にあるビタミンCがその効果を発揮するには、還元型であることが大切であり、常に「還元型>酸化型」を維持しておく必要があります。

ところが酸化型ビタミンCが多くなると、その効果は発揮されず、かえってラジカル反応が連鎖的になってしまうかもしれません。

一般に、活性酸素は細胞膜やミトコンドリア外膜そして核膜などを標的に、それぞれの膜にあるリン脂質を酸化させます。しかし、基本的に膜には抗酸化物質が点在しているため、これによって脂質過酸化の連鎖反応はストップできます。 脂質過酸化にまず反応するのはビタミンEです。膜の脂質二重層の少し内側にある疎水部にビタミンEが存在しているからです。

ビタミンE(還元型)は、酸化した脂質(ペルオキシルラジカル)に、電子と水素を供与して安定させます。ただし、このときビタミンE自身がラジカル(酸化型)になります。※酸化型といっても、ビタミンEの場合、反応性は低いため他の脂質に酸化反応を及ぼすことはほとんどありません。 酸化型ビタミンEは、親水部にいるビタミンCから電子をもらい、再び還元型に戻ります。一方、ビタミンCは酸化型となってしまいますが、ここで活躍するのがグルタチオン(GSH)という酵素です。グルタチオンは酸化型となったビタミンCを還元型に戻す働きをします。

そして、このグルタチオンを触媒するのがグルタチオンペルオキシダーゼという酵素です。このグルタチオンペルオキシダーゼは、活性中心にセレンというミネラルを持ちます。

つまり、間接的にセレンが酸化物質を還元するといえます。さらに、酸化型グルタチオン(GSSG)は、NADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸 )という、ナイアシン(ビタミンB3)によって生合成された物質や、補酵素にビタミンB2をもつグルタチオン還元酵素によって還元されます。 よって、細胞内ビタミンCを「還元型>酸化型」に維持するには、酸化型ビタミンCを還元型に戻す、グルタチオン、セレン、ビタミンB2、ナイアシンなどの栄養素が必須となるのです。

また、風邪を引いた時などには、白血球は多くの活性酸素をばらまくため、膨大なビタミンCが酸化型になります。この場合は、先述の抗酸化栄養素では足りないため、手っ取り早く、還元型のビタミンCを服用するのがいいでしょう。そのため、風邪にはビタミンCと呼ばれます。

さて、ビタミンEについても、これを活性化させるには還元型を維持することが最善策なのですが、先述のように最終的にグルタチオンに依存しますので、この触媒をするセレンがきちんと細胞内に留まっておくことが必須です。そのため、ビタミンEはセレン摂取で相乗的な効果を発揮すると言われています。

ちなみに、セレンとビタミンEの作用はとても類似していることが多いです。どちらも抗炎症作用や抗酸化作用があります。ビタミンEだけでは特に大量投与でない限りほとんど抗炎症効果がないのに、セレンと組み合わせると抗炎症活性を大きく増大させます。また、ビタミンE欠乏による肝臓の変性壊死があっても、セレンの経口投与で予防できたという報告もあります。これは酸化型のビタミンEを還元型に戻すのが最終的にセレンに依存した酵素ということも機序としてあるのでしょう。こうして、結果的にビタミンEはセレンと相性のいい栄養素といえます。

こうした抗酸化システムには細胞内にしっかりと栄養素が届いていることが肝なのです。

Tag:

WRITER

吉冨 信長(よしとみのぶなが)

1977年生まれ (株)コミディア代表取締役 栄養カウンセラー、分子栄養学セミナー講師、日本脂質栄養学会会員、日本微量元素学会会員

2000年東京理科大学卒業後、SE業界へ。
SE業界を引退後、2007年青果業界へ転職し、2013年から食と栄養に関する健康情報をSNS等で日々発信し、講演会やセミナーではいつも満員となる人気講師に。

麹(こうじ)」の医学的効果がすごすぎた。麹(糀)は〇〇〇〇改善効果がとても高い!今すぐ食べよう♪

「お酢」の医学的効果がすごすぎた。カンジダ抑制、高血糖の予防、減量効果ほか。米酢、黒酢、リンゴ酢、ワインビネガーなと!

ページ上部へ戻る