「親ばか」でなければならない理由

三つ子の魂百までということわざがあるように、ほぼ3歳の幼児期までにあらゆる発達や、多くの体質が決まってきます。

私は今までに世界の先住民や伝統社会を見てまわりました(まだまだ周ります)が、モンゴル遊牧民、タンザニアの狩猟採集民ハッザ族、マサイ族、ダドガ族、ニューギニアのダニ族、モニ族、ヤリ族、センタニ族、どの民族を見ても、子どもを持つ親は、ほぼ「親ばか」でした。

ここで言う「親ばか」とは、自分の子どもを認め、たっぷりの愛情でばかのようにかわいがることです。かわいがるだけではなく、その子のことを誰よりも褒め、認めてあげるのです。他人が見ればそんなにかわいくなくても、その子の親が自分の子を一番だと思うだけでいいのです。それが子どもに伝わることが重要です。

彼らは頻繁な抱っこやおんぶ、そして添い寝やスキンシップを密にしています。

ところが、アメリカで数十年前に出版された『スポック博士の育児書』で、子どもは放って育てる、親から隔離するなどという子育て法が流行し、これにて一挙に子育てが崩れていったという声もあります。

ヒトでも動物実験でもこうした母子分離実験は今までに結構されていますが、ほとんどが良い結果をもたらしていません。それどころか、攻撃的な性格になったり、親になったら育児放棄したり、愛情ホルモンであるオキシトシンの分泌が減少したり、さまざまなネガティブな報告がされています。

基本的に、どの哺乳類でもスキンシップによる皮膚への刺激がないと生きていけません。皮膚刺激によって、循環器系、泌尿器、免疫系、神経系、呼吸器官、胃や腸の消化器官をすべて刺激します。人間以外の哺乳類では、赤ん坊の前身をきれいになめる行為や撫でる行為がそれにあたるといわれています。このときオキシトシンが分泌されます。生まれる前の赤ちゃんは、体温と同じ温かい羊水と、お母さんの子宮の壁にべったりすることで皮膚感覚を刺激しているといわれています。

オキシトシンが分泌されやすくなる体質は幼児期に決まると言われています。腸内細菌のバランスもだいたい幼児期に決まってくると言われていますね。正常なオキシトシンやセロトニンが出やすい体質になれば、ストレスにも強く(ストレスと感じないポジティブさ)、健康で優しい子どもに育ちます。

一般では当然のように赤ちゃんや幼児はよく泣くものと考えがちですが、私が伝統社会で見たものは、赤ちゃんは無駄には泣かなかったことです。お腹が空いている、何か異常を感じているというようなときに初めて泣きます。また、奇声を上げることもなければ、落ち着きのないこともほとんどありませんでした。 「親ばか」は子どもの才能を引きだし、子どもを強く優しい子に育てます。私たち哺乳類はいつまでも親ばかでなければならないのです。

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WRITER

吉冨 信長(よしとみのぶなが)

1977年生まれ (株)コミディア代表取締役 栄養カウンセラー、分子栄養学セミナー講師、日本脂質栄養学会会員、日本微量元素学会会員

2000年東京理科大学卒業後、SE業界へ。
SE業界を引退後、2007年青果業界へ転職し、2013年から食と栄養に関する健康情報をSNS等で日々発信し、講演会やセミナーではいつも満員となる人気講師に。

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