更年期は太りやすいって本当?更年期が太るといわれる理由と対処法・気をつけたい食事

「食べる量は変わっていないのに体重が増えている…!これって更年期のせい?」

「更年期に入ってから最近食欲が増えて、体型に変化が出てしまった」

ホルモンバランスの乱れから心身ともに変化が出やすい時期なので、更年期の体重増加や体型の乱れにお悩みの方は多いでしょう。

この記事では、更年期に太る原因や対処法について解説します。

食事をするときの注意点について、食材選びのコツからお伝えしますので、ぜひご覧ください。

そもそも更年期とは?

個人差はありますが、女性の一般的な閉経時期は50歳ごろです。

そして閉経時期の5年前後である45~55歳ごろを更年期といい、急激に女性ホルモンの分泌量が低下する時期です。

図のように更年期では、エストロゲンという女性ホルモンがゆらぎながら低下して、心身に不調をきたしやすくなります。

更年期では、のぼせやめまい・イライラなどが起こると聞いたことがある方も多いでしょう。

事実このような「更年期症状」が起こりやすく、日常生活に支障がある重い状態になれば「更年期障害」といわれ治療が必要になります。

そのため更年期では、食事や生活習慣の見直しが非常に重要です。

女性は更年期になると太りやすくなる?

さまざまな原因が合わさって、更年期では太ります。

体重の増加だけでなく、更年期になると体型が気になる方も多いでしょう。

女性ホルモンは女性の健康につながる心と体を守ってくれるホルモンであり、急激に下がれば体調不良を引き起こし、代謝も下がります。

次の章ではなぜ更年期太りが起こるのか、原因を掘り下げて解説していきます。

「更年期太り」の原因

更年期太りの原因はさまざまですが、今回は代表的な以下3つについて解説します。

  1. 女性ホルモンの低下
  2. 筋肉量の減少
  3. 睡眠の質の低下

順番に見ていきましょう。

(1)女性ホルモンの低下

そもそも更年期とは?」でお伝えしたように、更年期では女性ホルモンが低下します。

代謝にかかわるエストロゲンが低下すると新陳代謝が遅くなり、体重が増えやすくなるのです

そのため、更年期前と同じように食べ続ければ必然的に太りますが、食事によって緩和できます。

記事の後半「更年期太りにおすすめの食事のコツ」では、更年期でそのような食材を積極的にとり、避けるべきかお伝えしますので、参考にしてください。

(2)筋肉量の減少

更年期に限りませんが、年齢を重ねるにつれて筋肉量は減ってしまいます。

原因としては運動量が低下するほか、老化もありますし、食事からとるタンパク質も減るでしょう。

筋肉量が減ってしまえば体が燃焼するエネルギー量が減り、代謝も落ちます。

またインスリンの効きが弱くなる「インスリン抵抗性」になりやすく、脂肪が増えやすくなります。

以下は、インスリンの役割と、効きが悪くなるインスリン抵抗性を表した図です。

このように、筋肉量が減ると代謝の低下やインスリン抵抗性を招きやすく、結果的に太るのです。

(3)睡眠の質の低下

更年期は、ほてりや発汗などにより、「ベッドに入っても全然寝つけない」「夜中になぜか何度も目が覚めてしまう」といった、睡眠障害が起こりやすくなります。

この睡眠の質の低下が、食欲に関係するのです。

睡眠が不足すると食欲を増加させる「グレリン」というホルモンが増え、さらに満腹だと感じさせるレプチンが減少します。

暴飲暴食に陥りやすくなるので、自然と甘いものや油っこい食事に手を出す傾向が強まり、更年期は体重が増加しやすくなります。

更年期太りを乗り越えるための対策

更年期太りを乗り越えるには、以下3つのポイントを押さえましょう。

  • 食材の選び方を工夫する
  • 嗜好品の食べ方を変える
  • 規則正しい生活を心がける

まず第一に、更年期に必要な栄養を積極的にとって女性ホルモンのサポートをすることが大切です。

どのような食材を選ぶかによって更年期症状の緩和につながり、体調が大きく変わってきます。

油の種類やビタミンを多く含む食材を選びながら、質のよいものを食べましょう。

嗜好品は頻度を減らしていかなければ太る原因になりますが、我慢しすぎるとストレスになります。

低糖質スイーツやお豆腐を使ったスイーツなど、食べることを楽しみながら間食を変えていくことが大切です。

食材の選び方については、次の章「更年期太りにおすすめの食事のコツ」で細かくお伝えしていきますね。

続いて規則正しい生活を心がけることで、体内時計がリセットされて太りづらくなります。

体内時計は、実際の時間と30分くらいズレがあります。

リセットしなければ時差ボケのような現象が起きてしまい、正常な代謝がおこなわれず、太る原因になるのです。

体内時計をリセットするうえで朝食は一番重要で、朝日を浴びることもポイントです。

規則正しい生活は更年期太りの予防には非常に重要といえ、食生活も含めて気をつけましょう。

更年期太りにおすすめの食事のコツ

ここからは「更年期太りなのかな?」と体調の変化を感じる方に向けて、おすすめの食材や控えたほうがいい食材をお伝えしていきますので、参考にしてください。

更年期太りを乗り越えるために意識して食べたほうがいい食材

多くの更年期太りにおすすめの食材があるなかで、代表的な以下3つの食材を紹介します。

  • 大豆食品
  • ビタミンD
  • マグネシウムとビタミンB6

順番に見ていきましょう。

大豆食品

大豆食品にはイソフラボンが多く含まれており、女性ホルモンであるエストロゲンをサポートする作用をもつため、積極的にとりましょう。

とくに納豆や味噌など大豆の発酵食品は、イソフラボンの吸収効率がいいためおすすめです。

エストロゲンは肌や髪の質に関係したり、骨粗鬆症のリスクを減少させたり、女性の生活に多くかかわっています。

最近はサプリメントも販売されていますが、過剰摂取による副作用を考えると、食品からとることがおすすめです。

イソフラボンはエストロゲンが過剰な場合は阻害して抑え、少ない場合には増やすよう調整するおもしろい働きもあるので、大豆食品から積極的にとりましょう。

ビタミンD

更年期症状を緩和させるうえで、最も重要な栄養素がビタミンDです。

年齢を重ねるとビタミンDは減少していき、骨粗鬆症やインスリン抵抗性などのリスクが高まります。

また更年期は鬱症状が高まりやすく、ビタミンDによる緩和を期待できます。

1日2000IUを目安に、食材やサプリからビタミンDをとるよう心がけましょう。

マグネシウムとビタミンB6

更年期に低下しやすい睡眠の質を改善する栄養素として、マグネシウムとビタミンB6がおすすめです。

マグネシウムやビタミンB6は、睡眠にかかわるホルモンを生成するときに必要なビタミンです。

とくにマグネシウムは女性だけでなく男性も含め、日本人全体で不足しているので、意識してとるようにしましょう。

更年期太りを乗り越えるために意識して避けたほうがいい食材

更年期のときにできるだけ控えていただきたい食材は、以下3つです。

  • 甘いもの
  • 精白小麦
  • 「油」と「脂」

順番に見ていきましょう。

甘いもの

糖質である、甘いものは控えましょう。

たとえば砂糖や、ジュースによく入っている果糖ブドウ糖液糖などが挙げられます。

はちみつは健康にいいイメージがあるかもしれませんが、積極的な摂取はおすすめできません。

習慣化してしまえば、やはり太るでしょう。

余分な糖質は、脂肪になります。

甘いものをとるのであればラカントSやアルロースなど、血糖値を上げにくい調味料を選ぶといいでしょう。

精白小麦

全粒穀物のような茶色ではなく、精製度の高い白色の精白小麦を使用したパンや麺類などは、できるだけ控えましょう。

精白小麦は血糖値を上げやすく、栄養成分が精製段階で取り除かれてしまっています。

もちろん麺類やパンを食べる機会を、ゼロにすることは難しいでしょう。

毎朝パンを食べている方はご飯に変えてみたり、昼に麺類が多い場合は別の主食を取り入れたりして工夫してみてください。

「油」と「脂」

2つの「あぶら」のとりすぎに気をつけましょう。

「リノール酸」を含む油は、太りやすいので注意が必要です。

なたね油やサンフラワー油など、スーパーに行けばさまざまな種類の油が売っていますが、太りやすいので控えてください。

ただし以下の4種類は、例外なので食べてもOKです。

  • ココナッツオイル
  • オリーブオイル
  • えごま油
  • アマニ油

多くの油を吸収する天ぷらは、とくに太りやすくなります。

どうしても食べたいときは、上記の油を使用するといいでしょう。

また「脂」では、肉に注意が必要です。

豚バラや霜降りの牛肉は太るので、赤身や鶏肉を選びましょう。

更年期太りを乗り越えるポイント

「いつもと変わらない生活なのに、体型が崩れてきた。もしかしたら、更年期なのかもしれない…」

「更年期なのでは?」と思うと気が重く感じる方もいるかもしれませんが、自分に厳しくしすぎず、食事を楽しむことが大切です。

たとえばチートデイや、地中海式ダイエットを取り入れてもいいでしょう。

チートデイとは、好きなものを自由に食べる日をいいます。

ダイエットを頑張ったご褒美に、設けるといいですね。

地中海式ダイエットとはその名の通り、ギリシャやイタリアなど、地中海地域の食事形式を利用するダイエットです。

以下のような食材を、地中海式ダイエットではふんだんに使用します。

  • 野菜
  • 果物
  • ナッツ
  • 豆類
  • 全粒穀物
  • 魚介類
  • オリーブオイル
  • チーズ

オリーブオイルやチーズ・ナッツを使った料理が多いこと以外は、和食と似ているかもしれません。

ダイエットは頑張りすぎるとやりすぎるとストレスになり、余計に太ることもあります。

自分に厳しくしすぎず、適度にチートデイや地中海式ダイエットなどを取り入れ、楽しく続けましょう。

チートデイについては、以下の記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。

https://www.eiyou-lab.jp/recommend/2307_stagnationperiod/

更年期太りのよくある質問

最後は、更年期太りに関するよくある質問にお答えしていきます!

更年期太りは誰にでもある症状ですか?

まったくない方もいるので、人によります。

ただし日本だけでなく、海外のどこの国でも起こることであり、よくある症状であることは確かです。

栄養で予防や更年期太りのサポートはできるので、今回紹介した食材をもとに対策していきましょう。

更年期太りはサプリメントや漢方で対応できますか?

できます!

必要な場合、更年期には、以下のようなサプリメントや漢方がおすすめです。

【サプリメント】

  • エクオール
  • マルチビタミン&ミネラル

【漢方】

  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

ただし、副作用や現在服用中の薬との飲み合わせを考慮する必要があるので、事前に医師や薬剤師への相談は必須です。

更年期太りで「むくみ」が気になります。食事で気をつけるポイントを教えてください。

「塩分」と「タンパク質」、2つのポイントが重要です。

まず塩分のとりすぎに気をつけてください。

惣菜や外食は楽でおいしいけれど、どうしても塩分が多いので注意が必要です。

頻度を減らしながら、塩分をとりすぎたときはカリウムを多く含む食材(野菜やフルーツなど)を摂取して調節しましょう。

また水分調節にかかわるタンパク質を積極的にとることで、むくみが減りやすくなります。

更年期太りを気にしすぎておかずの量を減らしたり、食事を抜いたりするとむくんでしまうので注意しましょう。

WRITER

吉冨 信長(よしとみのぶなが)

1977年生まれ (株)コミディア代表取締役 栄養カウンセラー、分子栄養学セミナー講師、日本脂質栄養学会会員、日本微量元素学会会員

2000年東京理科大学卒業後、SE業界へ。
SE業界を引退後、2007年青果業界へ転職し、2013年から食と栄養に関する健康情報をSNS等で日々発信し、講演会やセミナーではいつも満員となる人気講師に。

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