適度に紫外線を浴びよう

4月~5月は紫外線量が年間でも非常に多いと言われており、特にUVAの紫外線量が多くなります。ビタミンDを生成するのに必要な紫外線はUVBの方であり、こちらは7月~8月が最高潮となります。

よって、春から夏にかけて、適度な紫外線をきちんと浴び、体内でのビタミンD合成を意識するといいでしょう。ただし、浴び過ぎはさすがに皮膚の老化を促進してしまいますので、極端な日光浴は避け、30~60分間/日の紫外線を浴びることをおすすめします。

※なお、日焼け止めクリームを塗ると、ビタミンD合成ができませんので、手足は塗らずに顔だけに塗るとか、日光浴が終わった後に塗るとかの工夫が必要です。

ビタミンDは抗がん作用(大腸がん、乳がんなど)、免疫調整作用、抗アレルギー作用、抗血栓作用などがあります。※ビタミンDの代謝にはマグネシウムイオンやナイアシンなどを必要とします。

さて、先日ですが、ブラジルのサンパウロ州立大学ボツカツ医科大学婦人科泌尿器科の研究で、「ビタミンDが欠乏している人ほど、メタボリックシンドロームや肥満のリスクが高かった」ことが発表されました(Eneida Boteon Schmitt et al, Maturitas, March 20 2018; vol.107,97-102)。

これは、45~75歳の女性463名を対象に、血清ビタミンD濃度(25(OH)D)を測定したところ、ビタミンD欠乏(<20ng/ml)の人ほど、インスリン抵抗性の指標となるHOMA-IR、そして中性脂肪や総コレステロールがそれぞれ高かったため、いわゆるメタボと診断されたのです。

ビタミンDの受容体はインスリンを分泌する膵β細胞や骨格筋や脂肪組織などの末梢組織に多く発現しており、ビタミンDが欠乏すると、膵β細胞がプロインスリンをインスリンに変換する代謝能力を損なう可能性があることがわかっています。 冬が明けると血中ビタミンD濃度はたいてい低くなっていることが多いため、血液検査で確認することをお勧めしています。測定値の結果が仮に低くても、これを始点にして、ビタミンDを意識し、少しずつ増やすことがポイントです。この場合、アレルギー対策は30ng/ml以上、大腸がん対策は40ng/ml以上、乳がん対策は50ng/ml以上をそれぞれ目安に目指してほしいと思います。

また、現時点で肥満型の人は、標準型の人よりも多くのビタミンDを必要とするため、血中濃度を上げるには時間がかかります。ビタミンDは脂溶性のため、肥大した脂肪細胞をもっていると、これがビタミンDを吸収してしまい、他組織への利用を妨げるからです。

春夏に紫外線対策をする人が一挙に多くなりますが、実はその逆でむしろ紫外線を意識して適度に浴びる必要があります。ただし、浴び方には工夫が必要で、適度な時間浴び、くれぐれも浴び過ぎは気をつけましょう。

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WRITER

吉冨 信長(よしとみのぶなが)

1977年生まれ (株)コミディア代表取締役 栄養カウンセラー、分子栄養学セミナー講師、日本脂質栄養学会会員、日本微量元素学会会員

2000年東京理科大学卒業後、SE業界へ。
SE業界を引退後、2007年青果業界へ転職し、2013年から食と栄養に関する健康情報をSNS等で日々発信し、講演会やセミナーではいつも満員となる人気講師に。

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